我が里山の畑は、いつも人力で耕されている。
夫と私が、スコップとクワで、えっさえっさと土を掘り返しているのだ。
力が必要なので、とても広い面積は耕せない。
ゆえに、大きな畑を借りていても、作付けするのは、毎回ごくごく一部。
後は、休耕状態だ。
トラクターや耕運機で耕せば、あっと言う間に、全面を畝(うね)に出来るのに・・・。
もう、よーーくわかっている。
効率が悪いのは。
でも
今は、人力で出来る範囲でいいや
と決めて、大~きな畑で小~さな菜園をやっていると言う次第。
ただ、効率は悪いけれども、人力でやる長所というのもあって
これは前に書いたけれども
昔の人の苦労がしのばれる
というのは大きい。
ほんのちょっと前まで、
私の父母の世代が若い頃(50年くらい前)までは
牛と人とで農業をやっていたんだからなぁ。
まぁ、その苦労を、ちょっとくらいは感じてみても・・・。
それと、もうひとつ。
土の様子がよくわかる
というメリットがあることに、最近気がついた我が家だった。
と言うのも、
この畑、元々はマスターTさんがお米を作っておられた田んぼで
米の減反政策に合わせて、休耕田となり、
以来、ずっとキビだったかアワだったかヒエだったか・・・
とにかく、何かの雑穀を育てていた場所なのだった。
家畜の飼料として引き取ってもらえる
とおっしゃっていたと思う。
その後、我々里山オーナーに、貸してくださることになったわけだけれども。
お米の時も、雑穀の時も
マスターTさんはプロだから
やはり、農薬や除草剤は使っていたのだろうな
と思う。
だから、
この畑には、最初、不思議なほどミミズがいなかった。
ガッと掘ったらワッ!
という感じで、ミミズがワラワラ湧いて出る・・・
と思い、腰が引けていた私には、拍子抜けなほどだった。
ホントに
耕作を始めて、1年、2年・・・、畑にミミズの姿はまれだった。
土自体は、柔らかくて良い感じなのだけれども・・・。
それが
先日、夏の畑を片付けるべく、ゴーヤ棚を取り壊し
ゴーヤの畝を、えっさえっさとクワで掘り返していたらば
出た出た出た!
あっちでミミズがニュッ!
こっちでクネッ!
ウニュッ!
「あれあれあれ、すまんすまん」
と言いながら、何べんもミミズに土をかけてあやまった。
こんなにたくさんのミミズは、初めてだ。
思えばこの3年半、
農薬を使わず、化学肥料にも手を出さず
本を読んでは見よう見まねで、
堆肥を入れ、牛ふん、米ぬか、骨粉などを施してきたこの畑。
とうとう、その成果が現れ、土が元気になってきたと言うことだろうか???
このミミズ達の姿に、それを信じたい!
・・・と、ちょっと感激していた初秋の畑。
土の変化を、こうして感じられたのも、人力で耕していたからこそ。
ああ、無駄じゃなかったなぁ~
・・・と、
ここまでは良かったのだが・・・・・
この感激のミミズ。
・・・・・クワで耕していると、・・・・・もうご想像はつくと思うのですが
ドンッと真っ二つ
・・・にしてしまうんですよ。何匹も。あ~・・・。
「あー。またやってしもた。ごめーーん!ごめーーーん!」
騒ぐ私に、夫は、すかさずフォロー。
「大丈夫やで。
ミミズは、体がふたつになっても、2匹に分かれて生きていくんと違うかったか?」
「え?それ、ナマコと違うん?」
どっちも
大間違いです!
ナマコは内臓を吐き出しても、また再生するけれど、
体が切れたら、なんぼなんでも無理。
ミミズは、
何種類かのミミズには
危険な目にあった際、トカゲの尻尾のように
体の後ろの方を自切(じせつ)して逃げる能力があるけれども
復活するのは、逃げた前半身のみ。
後ろは、トカゲの尻尾と一緒。
2匹に分裂して増えたりしません!!
・・・と言うのは、畑から戻って、色々調べた結果だけれども
ともあれ
自切したわけじゃなく、クワで真っ二つにされたら、やっぱりあのミミズ達は・・・。
せっかく増えて、せっせせっせと畑を耕してくれているミミズの命を
よりにもよって奪ってしまうとは
なんとも因果な畑仕事。
でも、
トラクターや耕運機でやっていたら、真っ二つのミミズ達も見えないまま。
・・・人力でやっていて良かった・・・
んでしょうね?きっと。
それにしても
ミミズが増えると、それを目当てにイノシシが、またぞろ畑に現れるかも・・・
と、ちょっと不安な思いも頭をよぎる、これからの冬の畑。