里山の手入れをし始めた頃
林業関係の本を読んでいたら、こんな話が載っていた。
とある小学校で、総合学習の時間に林業を学ぶことになり
林家の所へ、小学生達がやって来た。
そして、その中の児童が、こんなことを言った。
「林業は、木を伐るからいけないと思います」
林家の方、思わず絶句したそうだけれども、・・・・・気の毒に。
でも
わかるなぁ・・・
とも思った。
里山オーナーになる以前は、
私も、林業に、あまり良いイメージは、持っていなかったように思う。
理由は、
バブルの時代に、マスコミをにぎわせた<スーパー林道>のせい。
その何十年も前から
国の政策で、大規模な<スーパー林道>が、
日本の一番山深い所に、次々建設されていたけれど
バブルの頃、
今は、世界遺産になった
青森・秋田県境の白神山地を通る<スーパー林道>が、ちょうど建設中で
これに、自然保護団体が反対を唱えて
かなりニュースになっていた。
<スーパー林道>は、<スーパー>と言うだけあって
かなり広い、立派な道で
林業関係者のためと言うより、観光客を呼び寄せたい
と言う思惑で作られているのではないか?
もしくは
公共工事をしたいがために、必要も無いのに造っているのでは?
と言う問題も指摘され
その林道のために、白神山地の、貴重なブナの原生林が壊されるのは許せない
と、大きな反対運動になっていたのだ。
結果、
この白神山地を通る林道は、建設が中止された。
私は、この一件で、初めて<林道>と言うものを意識したと思う。
それまで、山歩きをしていて林道に出ても
「道があるな」
くらいにしか思っていなかった。
だから、
<スーパー林道>の影響で
<林道=環境を破壊する>
と言うイメージが、かなり強烈に、頭にこびりついてしまった・・・。
なにしろ、<スーパー林道>って、先にも書いたけれど、ものすごく立派。
山肌を何メートルも削って、
そこをコンクリートで固め
2車線もある広い道・・・もちろん、アスファルトで完璧に舗装した広い道を
ドーーンと奥深い山々に通す。
大変な環境破壊に見えた・・・
と言うか、今も見える。
そんな林道を必要とする林業って・・・・・
環境に悪い仕事なのでは・・・・・?
そんなイメージも植えつけられてしまった。
林業の方々が、<スーパー林道>を欲しがっていたわけではなくて
国会議員と、自治体のトップと、工事関係者が造りたがっていたんだ
と、今ならわかるのだけれども・・・。
そんな<林道>。
でも、里山の手入れのことを勉強していくうちに
適切な<林道>が無ければ山の手入れはできない。
伐採も何もできない。
と言うことは、すぐにわかった。
<スーパー林道>みたいなのは問題外だけれど
トラックが一台通れるくらいの、しっかりした道。
山肌を、あまり削らないやり方で
木を大量に伐らなくても、
きちんとした林道は造れるし、そう言う道は、絶対に必要なんだ
と理解できた。
だから、私達は、自分達の区画の手入れを始めた時、
斜面の竹林を皆伐した後
まず造ったのが、こんな通路だった。↓
斜面を削り、踏み固めて、斜面全体に、こういう通路を造った。
なにしろ、
道の無い、ただのこう言う斜面だと↓、その後の手入れが実に難儀。
竹を伐るにしても、草を刈るにしても、
とにかく何をするにしても、手入れに通路は不可欠!
が、私と夫の一致した意見だった。
そして、先日の日曜日。
昨年から持ち越しの、土木作業に、やっと着手した我が家!
昨秋、手入れしていた斜面の
通路を、やっと造り始められたのだ。
あ~あ~。待ち遠しかった。長かった。
まだ、途中経過だけれども、出来かけの通路はこんな風。↓
ちょうど、イノシシに掘り返された部分の、すぐ近くを通っているため
イノシシ的には
「何これ!?イヤー!!!!!」
と言うことに、・・・・・なると良いんだけれども。
自然保護団体の人の中には、
「環境を守るために、木は一本も伐ってはいけない」
と言う人もいる。
そう言う人から見れば、我々の行為も、すごい環境破壊なのかもしれないけれども、
でも
私は、自然だけを大事にしたいわけではないから
やはり道は造ろう。
それにつけても
先に書いた、林家の方。
小学生に、
「林業はね、木を伐りながら、同時に木を植えて、森を育てる仕事なんだよ」
と上手に説明できたんだろうか?
大人相手にでも、説明に時間を要する
<森を作る仕事>。
小学生に、わかってもらえたんだろうか・・・・・。
と、心配するより
私は、
私が、この4年間、学び、経験してきたことを
少しでも多くの人に知ってもらわなくては
と思う、今日この頃。
ブログや、HPを通して、伝える努力はしてきたつもりだけれども
それだけじゃなく
私は、
私の仕事を通して
山の問題、中山間地の農業の問題、林業の問題を
伝える努力をしていかなくては。
そう言うチャレンジを、これからしていかなくては。
と、切実に思う。今。
目標は、しっかり持ち続けたい。