私達が山の手入れを始めたのが、2003年の4月。
丸4年が経とうとし、手入れが進んで良くなったかなと言う部分もあれば
私達が手を入れて、<大失敗>となった部分もある。
その大失敗の箇所を、今日は書き記しておこうと思う。
いつか、ネットの海のどこかで
誰かがこれを参考にするかもしれない
その時のために。念のため。
私達が借りたのは、マスターTさんの山の、ごくごくごく一部分である
300坪の区画。
もう、20年間、手入れをされていないという山で
天然林の部分はジャングル状態。
スギやヒノキの人工林の部分も、
間伐がされていないため、木が密集して、林床には光が届かず
森の中は暗かった。
そして、山の斜面全体には、
20年分の落ち葉が、一面に、うず高く積もっていたのだった。↓
足を踏み入れると、弁慶の泣き所まで沈んでしまう箇所もある。
20cm~25cmくらいの落ち葉の層が、山全体を覆っていたのだった。
「こりゃ~、この落ち葉、全部かくしかない。
落ち葉かきして、地面を露出させなきゃ」
私は思った。
それまでに読んでいた<里山の手入れ>に関する本には、皆
<地面に積もった落ち葉をかきましょう>と書かれてあったからだ。
地面に落ち葉が積もっていると、地面に植物の種が落ちていても
発芽できない。
万が一発芽できたとしても、
20cm~25cmも積もった落ち葉をかきわけて双葉を伸ばす・・・
と言うのは無理。
すると結局、その森は、下草が生えない。
下草が生えないと、多様な昆虫の集まる森にはなれない。
昆虫が集まらないと、爬虫類も鳥も来ない森になってしまう・・・
と言うのが、教科書の言わんとしているところ。
「豊かな森を作るためには、落ち葉かきせにゃ!」
それに、落ち葉が何10センチも積もっていると、
ただでさえすごく歩きにくい急斜面↓、いよいよ歩けないのである。
歩きやすくして、山の手入れをしやすくするためにも
いざ!落ち葉かき!
そうして2003年の晩秋から2004年の年明けにかけて
300坪の斜面を、私はひたすらガンジキ(熊手)で掃除した。
落ち葉の層は
上の10センチくらいは、まだ落ち葉の形をしており、
どんどん降り積もったのが圧縮されて
ちょうど洋菓子のミルフィーユみたいに重なっており
その下の10センチくらいは、もう分解されてフワフワの土になっていた。
でも、
種子を発芽させるためには、
そのフワフワのところも取り除いて、
とにかく、元々あった地面を出してやらねば!
と、必死で私は、ガンジキを動かし続けていた。
集めた落ち葉は、どんどん腐葉土置き場に放り込んで・・・。
↓やがて、森の中は、すっかり林床を現わす。
これでいい!
これで、下草のいっぱい生えた、豊かな森が復活するはず♪
・・・・・・・・・・だったのだが。
ど素人の私と夫は、ここで重大なミスをおかしていたのだ。
と言うのは、
落ち葉かきをする前には、充分に森を間伐して
林床に日光が届くようにしておかなくてはならない。
じゃないと
いくら地面を露出させたって、植物は育たない。
しかし、この間伐が、不充分だったのだ。我々の場合は。
後で考えると、
<充分間伐をしなくては、日光が届かず、植物は育たない>って
ものすごく当たり前のことだったのだけれども
20年分の分厚い落ち葉の層を前に
<とにかく、落ち葉かき!!>
と、私は、あせっていたんだと思う。多分。
それと、
最初がとにかくジャングル状態だったため
ある程度間伐して、
落ち葉かきも出来るくらいに、人が斜面を行き来できるようになった時点で
<もう充分に木を伐ったわ♪>
と思い込んでしまったのかもしれない。
また、
一面の竹林だった↓の斜面をスカーッと皆伐したことで
<やった!>と言う、みょう~な達成感を得てしまったのかもしれない。
・・・・・ともかく、色々な要素がからみあって、私達は、
まだまだ間伐が足りない山の斜面の
落ち葉を、皆、剥ぎ取ってしまったと言うわけだった。
結果、どうなったかと言うと・・・・・。
間伐が足りていて、林床に光が届いた箇所は↓
もう、教科書通りの展開に。(ブラボ~~♪)
が、
間伐が足りなかった箇所では、全く草が生えず
その後やって来た大型台風の際
集中豪雨のため、露出した斜面の土が大量に流れてしまう
と言う、最悪の結果になってしまったのだった・・・・・。
こんなことなら、落ち葉の層を置いておいた方が、ずっと良かった。
ミルフィーユみたいな落ち葉の層と、その下のフワフワの腐葉土。
これらが、いったいどれだけの雨水を受け止めてくれたことか。
山の保水力にも関わる問題で
下草が生えなかったのは、全体の3分の1くらいの面積とは言え
本当に失敗だった。
申し訳ないことをしてしまった・・・・・。
以来、
この下草が生えなかった箇所がどうなってるかと言えば
相変わらず林床に光は届かず、草は生えないまま。
理由は、その斜面が谷になっているため
私達の区画を間伐しただけでは光が入るようにならず
周囲を広い範囲で、徹底的に伐らないとダメ
と言うことがわかったから。
我々だけでは、ちょっともう、どうしようもない状態なのである。
仕方が無いので
<昆虫がいっぱい来る豊かな森>は、ちと横において置いて
この光が届かない斜面には
元のように落ち葉を積もらせて、土の流失を防いでもらうことにした。
・・・・・いったい、あの冬の落ち葉かきの努力はなんだったのであろうか・・・・・?
などと言ってはいけない。この際。
同じ森の中でも
場所によって、森の守り方を変えなくてはいけない
と言うことを教えてもらったのだ。
流れてしまった大量の土に関しては、本当に心が痛む。
山の神サマ、本当に申し訳ありませんでした。
今、その斜面は↓こう言う感じ。
結構、間伐されていて、光も当たっているように見えるかもしれないけれど
周囲の木がうっそうとしていて、植物が育つには、やはり光が足りません。
落ち葉をかき終わった直後に比べると↓、手入れされていない山に見えるけど
今は、これで良いのでしょう。多分。
そもそも人の入らない奥山は、こうやって雨水を受け止めているわけだし。
この斜面も
まだ数年分の落ち葉しか溜まっていないけれども
やがては、またミルフィーユ状態になって、保水力を増してくれることと思います。
教訓。
落ち葉かきは、充分すぎるくらい間伐をしてから!
そして、林床に、充分な木漏れ日が届くのを確認してから!