私達が前の秋~冬に手入れした↑の斜面と
この斜面の左奥にある、本来、私達がお借りしている区画とは
30年ほど前までは、マスターTさんの栗林だったそうだ。
マスターTさんは、栗栽培農家でもいらしたのだ。
「以前は、稲の収穫が終わったら、栗を出荷しとったんやで」
とマスターTさん。
その栗の栽培を止められ、
多分、栗の木は、皆、伐ってしまわれたのだろう。
今、それらしい木は、1本も残っていない。
そうして、
使われなくなった山の斜面は、やがてハチクの波に飲み込まれてしまう。
4年半前、私達が山に入った時は、
斜面は、こんな風になっていた。↓
数ヶ月かけて、これらのハチクを皆伐した後、
私達は、私達の区画に、
オリーブやらシークワーサーやらイチョウやらの苗木を植え、
また、最初の写真の斜面には、
別の里山オーナーの方が、栗の苗木を植えられたのだった。
もともとが栗林だっただけに、ここは栗に合う。栗を植えたら良く育つはず
と言う、マスターTさんのアドバイスもあって。
そして、その栗の苗木は
実際に斜面の環境が良く合ったのか、
1年後には、もう綺麗なイガイガの実を付けていた。
桃栗3年柿8年。
この栗が、苗木になるまでに何年かかっているのかわからないけれども
他の果物に比べて、実が付くのが早いのは本当のようで
まだ、たった50センチかそこらの苗木状態の若木ながらも
えっへん!!
と言う感じで、数個のイガイガを、我々に見せつけていたものだった。
明るい秋の日差しの中で
若木に似合わないほど、それは、一人前の立派な実だった。
だから、
「この木が、もっともっと大きくなって、いっぱい栗が成ったら
私達も栗拾いさせてもらおうかな♪」
なんて言って、私達も、栗の木の成長を楽しみにしていたのだった。
しかし、
栗の木の植えられた斜面は、その後、メンテナンスの手が回らず
再びハチクの林に覆われてしまう。
斜面の端の方に植えられていた栗の木も
ほとんど、ハチク林に飲み込まれかけていた。
「栗の実が!!」
根のいやしい私達が、この事態を、だまって見ていられるでしょうか!?
そこで(いえ、ハチクの拡大を防ごうと言うのもあったのですよ)前の秋~冬、
ハチクを伐った。↓
結果、↑のように日当たりが良くなり、
この夏には、もうのびのびと、葉っぱを茂らせていた栗の木。
さて、その栗の木にも、実りの季節がやって来た。
「今年は、いっぱい成っているんと違うか?」
「いっぱい成ってたら、3分の1くらいは、もらってもええんと違う?」
相変わらずいやしい会話をしている私達だけれども、
と言うのも、冬の間、栗の周囲に
タップリと牛ふんを埋め込んでやったのだ。
なので、
牛ふん分くらいは、栗拾いさせて欲しい~~~
と、がっついているわけだけれども、
さて、先の週末、
栗はいかがなものか?
と、山へ入ってみれば・・・・・・・・・・
効いた!効いた!牛ふんがっ!
いや、日当たりが良くなったのもあるでしょうけれど
それにしても、こんなにたわわに成ってくれるなんて!
そして、ふと気がつけば
3年半前に、やっと50センチほどの高さで植えられていた苗木が、
いつの間にやら3メートルくらいはありそうな<木>に。↓
「気がつかないうちに、こんなに大きくなってたんやねぇ~・・・・・」
自分達が植えた木ではなかったので、細かくチェックしていなかった栗。
しかし彼は、知らないうちに、すっかり若者になっていたのだった。
そして、
「やった。やった。この秋は栗ごはん~~♪」
と、浮かれて山を降りて来た私達が、
農作業小屋にいらしたマスターTさんから聞かされたのは・・・・・。
「栗はなぁ~。虫が付くんじゃわ。
農薬やっても、6割収穫出来たらええ方」
6割!??
[蛾がな、卵を産み付けるんじゃ。
まだ実がコンペイトウくらいの大きさの時に産み付けて、
中で幼虫が、実を食べるんじゃわ」
そしてマスターTさん、夫が手にしていた、道端で拾った芝栗のイガを見て
「こんな風にイガがこげ茶色になっとるのは、いかん。
虫が入っとる証拠」
へっ!?
じゃあ、毎秋、道端に落ちているのを見る芝栗は
どれもこれもこげ茶色だけど、全部虫入りってこと!?
あっら~~~~~~~~~~。何にも知らなかった!
(夫は、玄関の飾りにでもならんかな?と落ちてた茶色いイガを拾ったらしいのだが
良かった!こんな虫入りのイガを持って帰ることにならなくて)
以前、果樹栽培の本を読んだ時、
<栗は初心者でも育てやすい>
と言う意味のことが書いてあった。
そして、
ハチクの竹やぶの中でも、懸命に育ち、
牛ふんを一度やっただけで、
今年のようにドバ~~ン!と実を付けてくれた、我らが栗の木を見ていたものだから
なおさら、
栗って楽勝なのでは?
なんて思っていた私なのだけれども
・・・・・・・・・・・・・・・甘かったのですね。やっぱり・・・・・・・・・・・・・・・。
それでも、
まだ我らが栗の実が
こげ茶色になって落ちてしまったわけでは無い。
無農薬だから、何割が無事なのかわからないけれども・・・・・。
「もう3分の1くらいなんて言いません!
1個でもいいから拾って、栗ご飯にしてみたいーー!」
と、ただただ願う、今日この頃。
さて、どうなることでしょうか。