里山の、マスターTさんの農機具小屋のそばに車を止め
私達は、いつも山へ入って行く。
農機具小屋から私達の手入れしている区画までは
町道を、150メートルくらいツラツラ登って行ってから、田んぼの畦道へと上がる。
この道は、町道と言っても
軽トラが1台通れるくらいの細い道だ。
そして、道は沢沿いに連なっていて
路肩には、所々にヤマグリの木が生えている。
野生なのか、昔々に誰かが植えたものなのか。
沢の向こうの山の中ではなく、路肩に生えているところを見ると
やはり、ずっとずっと昔にマスターTさんちのご先祖様達が植えて
食糧の乏しい時代には、
皆の良い栄養補給源になっていたのかもしれない。
そんなヤマグリ。
毎年、秋になれば実を付け、イガがたくさん道に落ちているのは知っていた。
でも、
拾って食べようとは思ったことが無かった。
理由は、
里山に通い始めた最初の年、道に落ちているイガをのぞいてみたら
すでに虫に食べられた後で、実はグシャグシャになっていたり、
イガだけ残って、中の実は、きれ~いに無くなっていたりで、
食べられる栗は残っていなかったから。
そして、
その<きれ~いに無くなっている>栗も
誰か他の人が拾っていったのではないな・・・・・
と言う気配が濃厚だったから。
つまり、イガの内側に、ちょっとだけ鬼皮が残っていたりして
いかにも
<イノシシが食べて行きました>
と言う気配。
イノシシが食べ散らかしているんじゃなぁ・・・・・
と、その後、落ちているヤマグリのイガに、関心を払うことは無かった。
毎年、
ああ、栗が落ちてるな。秋だな。
と思って、町道を登って行くだけだったのだ。
それが、
今年は、夫が、この、道にポテポテ落ちているヤマグリに
えらく御執心なのである。
山への行き帰り
ヤマグリの木の下を通るたびに
ものすごく熱心に、イガを一個ずつ調べている。
もちろん、中身が残って無いか、見ているのだけれども
なんでこう執着しているかと言えば
今年、山で、
栽培種の栗↓を初めてゲットして作った栗ご飯が、かなり嬉しかったらしく
「山で採った栗で、もう一度栗ご飯を作りたい!」
と、強く願っているからなのだった。
ただ、
先月手に入れた栽培種の栗は、元々この栗を植えられた里山オーナーさんが
残りの栗をすでに収穫してしまい
もう、枝は空っぽ。
なので、「ではヤマグリを」と言うことになったのだった。
しかし、そんな、
イノシシがガッガッガッと食べ歩いて行った後に、実なんて残っているわけがないよ
と思っていたらば・・・・・・・・・・
案外これが、残っていたのである!
道の真ん中に落ちているイガの中身は、スッカラカンか、
虫に食われて人の口には入りそうにないけれども、
道の脇の草むらや、
沢に落ちる土手に引っかかっているイガには、なんとつややかな実が!!
どうやらせっかちなイノシシは、結構、食べられる栗を見落として
ズンズンズンと進んで行くものらしい。
「あ、これも中身が入っとる!これも♪」
先の日曜日は、夫が少々仕事でお疲れモードだったので
秋の畑の種蒔きと草取りだけをして
後は、山へ行ってヤマグリ拾いに専念した我が家。
↑のように、結構栗は残っていて
すぐに私の片手は一杯になった。
二人分の栗ご飯なら、これでもう充分。
が、
ヤマグリが結構残っていることに気を良くした夫は
さらなるヤマグリを求めて、さらに町道を先へ。
道にパラパラ落ちているイガを目印に
普段は行かない山の奥へまで、どんどんどんどん歩いて行くのである。
行けば、そこは里山だから、さらなるヤマグリの木は、確かにあるのだけれども
もっとあるんじゃないか?もっとあるんじゃないか?
と進んで行く夫の背中を見ながら
段々、私は不安になって来た・・・・・。
・・・・・時々新聞で見かける
<キノコ採りの男性、山で迷い、3日ぶりに自力で下山>
なんて記事は、
要するに、こういう状況の結果なのでは・・・・・・・・・・。
軽トラが通れるような道なので、まさか迷うことは無いだろうけれど、
あまり遠くまで行っては、帰りもしんどい。
なので
適当なところで夫をうながし、車へと引き返した。
拾えたヤマグリは、結局、軽く両手に一杯と言ったところだった。
さて、家に戻って調理と言うことになったのだけれども
なにせヤマグリ、
栽培種と違って小さい小さい!↓
これなんて、クヌギのドングリと良い勝負かも!↓
もう、こういう大きさだと、皮をむくのも大変である。
それでも、山の神様からの恵み
夫が1時間かけて皮をむき
2日分の朝食にして、美味しくいただきました。
↑栗玄米ご飯、豆腐とトマトのおかかのせ、キュウリとチリメンジャコの甘酢和え、
ナスとキュウリの糠漬け、モロヘイヤの味噌汁、ほうじ茶。
↑栗玄米ご飯、シイタケとエリンギの味噌炒め、ゆで卵、キュウリの糠漬け、
長ネギとアサツキの味噌汁、ほうじ茶。
ヤマグリとは言え、栽培種に比べても全く遜色が無い美味しさ♪
とても幸せ。
が、
よくよく考えてみれば
要するに
今回の栗って、イノシシの食べ残・・・・・・・・・・・・・・・
いえいえ!
山の恵みを、山の生き物と分かち合っていると言うことで。
あらためて、美味しい山の恵みを
山の神様に感謝したい今年の秋の里山です。