「おのおの方、準備はよろしいかな?」
「ははっ」
とでも言いたくなるような、緊張感と、大仰な格好で始められた
我が家の七味唐辛子作り。
なにしろメインの唐辛子が、<鷹の爪の3倍は辛い>島唐辛子なのだから
軽い気持ちでは始められないのだ。
揃えられた材料は、↑のとおり。
<島唐辛子><柚子の皮><ごま><青のり>。
このうち、唐辛子は<焼き唐辛子>と<生唐辛子>の二つになるので
材料は、計5つ。
<麻の実もしくはケシの実><山椒>は入手できなかったので
正確には<七味唐辛子>ではなく
<五味唐辛子>作りである。
<島唐辛子>と<柚子の皮>は、自前で揃えたもの。
<ごま>と<青のり>は自然食料品店で買って来た。
さて、
元々、この島唐辛子の種を我が家にくださったShogame2さんが、
すでに島唐辛子で自家製<四味唐辛子>を作っておられ
その大変さは、ブログで読んで私も知っていた。
焼き唐辛子を作る時、その香りをかいだらえらいことになる
とか
唐辛子を扱った手で、顔などをさわってはいけない
とか。
なので、私も夫も、仰々しいほどの準備をして作業にかかったのだ。
マスクに眼鏡。
夫は元々眼鏡生活の人だから良いけれど、裸眼の私はサングラスを着用。
そして、恐る恐る・・・・・と言った感じで
<五味唐辛子>作りを始めたのだけれども・・・・・・・・・・・・・・・。
人間って、やっぱりアホですね。
いや、人間が・・・・・じゃなくて、<私>が。
あれくらい<第1級危険物>と念を押されていた島唐辛子。
なのに、
収穫できたのが、たったの6個だったため
「・・・・・ま、6個くらいなら、すぐ処理も終わるやろ」
と、唐辛子の中の種を取る作業を
なんと<手袋無しの素手>でやってしまった私。
「ちゃんと後で手を洗えば大丈夫」
なんて思っていたけれど、大丈夫じゃなかったのですな。これが。
石鹸を泡立てて、
ていねいにていねいに手を洗ったつもりだった・・・・・
が、
島唐辛子の辛味成分が、マスクの中にも染み込んで来たのか
鼻の下がムズムズした私。
なので、
洗った後の手で、マスクの下の鼻を、ほんのちょっとコシコシコシとこする。
ついでにほっぺたも痒い気がしたので、ほっぺたも軽くコシコシと。
しばらくは、それで何ともなく、
平和に、作業は続けられていたのだけれども・・・・・・・・・・。
徐々に
「なんか鼻がヒリヒリする。ほっぺたが痛い・・・・・!」
それでも、まだ事態を軽く見ていた私は
「ま、ちょっと触ったくらいで・・・・・」
と、そのまま作業を続行。
そしてその後、お風呂に入ってお湯で顔を洗ったとたん
「いってーーー!!」
ビリビリビリビリ!
島唐辛子成分の付いた部分に、お湯が沁みる沁みる。
あわてて鏡を見れば
さっき不用意にこすった鼻とほっぺたが、真っ赤っか。
炎症を起こしたみたいになっている。
さすがに、これにはあせった。
なにしろ、今は年末。
もうすぐ正月。
もし、このまま、鼻とほっぺたの赤いのが、なかなか治らなかったらば
私は、藤山寛美の舞台メイクみたいな顔で
年始のあいさつに回らねばならないのか???
・・・・・さすがに、これは、1~2時間もするうちに炎症は治まりましたが
目なんか、うっかり触っていたら、
ホント、えらいことになっていたかもしれない。
・・・・・・・・・・ホンマに私はアホです。
人様から、あれだけ注意を促されていたと言うのに。
結局
自分で痛い目をみるまでわからないと言う・・・・・。
そう言えば、
佐賀県に住む農家にして作家の山下惣一さんと言う方が
「生きる力というのは、経験の蓄積に他ならない」
と言う意味のことを書いておられましたけれども
確かに、
本を読んだり、人の話を聞いてわかったつもりになっていても
実際に経験しなきゃ自分の糧(かて)にはならないことって、
世の中には、山のようにあるのでしょう。
子供に<生きる力>をつけさせるには、経験を積み重ねさせるしかない。
もちろん、大人だって。
と言うことは
つまり
私は、島唐辛子の扱いについては、今回の一件で<生きる力>がついたと。
・・・・・代償は、藤山寛美の舞台顔か。
と、私がえらい目にあっている間にも、五味唐辛子作りは着々と進み
・・・・・・・・・・・・・・・と言いたいところですが、
実際は難航し、
何が困ったって、島唐辛子の量が少なすぎたため
ミルサーで粉にしようとしても、ミルサーの刃が空回りして
粉にならず、
1ミリ角くらいの断片にしかならないので
仕方が無いのですり鉢ですったのだけれども、
でも、ごまなら綺麗な粉になるけど、唐辛子の断片と言うのは
つくづくすり鉢には向いていないようで
なかなか小さくならない。
ああ、薬研(やげん)が欲しい・・・・・・・・・・!!
と思ったところで、そんなのどこに売っているんだか。
ともかく、
しつこくしつこく、すり鉢ですって、すって、すって、
・・・・・要するに、この時ですわ。
マスクを通して、唐辛子の成分が、私の鼻の下をヒクヒクと刺激してくれたのは。
でも、もしマスクをしていなかったら
えらいことになっていたでしょうね。
ともあれ、頑張って「もう降参」と思うまで、島唐辛子をゴリゴリすって
ごまや、粉にした柚子の皮、粉にした青のりなどとブレンドして
出来上がった<自家製五味唐辛子>。
ああ~~~ちょっぴりぃ~~~!
でも、
ここで、無謀にも
「たいして島唐辛子は入って無いんやし、辛くないんと違うん?」
などと言い
ちょこっと出来上がりをなめてみた夫(私も私だが、こいつもこいつだ)が
「ヒエーーーーーッ!!!」
と洗面所に走って行ったことから
ちょっぴりでも、普通の七味の3倍は辛い!
と確信した我々。
なので、激辛を緩和するためにも、柚子の皮の粉や、ごまをふんだんに入れ
全体量を増やすことにした。
結果、
最終的に出来上がったのが、この<五味唐辛子>。(左側のビン)↓
・・・・・なんだか、ごまが多くてフリカケみたいになってしまいましたが・・・・・。
しかも、柚子の皮の粉をふんだんに入れたせいで
けんちん汁にかけても、唐辛子の香りより、
柚子の香りがファ~~~ンと美味しそうに漂ってしまうと言う・・・・・。
ま、
辛いのは辛いから、良いかしら・・・・・。
と言うような結果に終わった
成功なんだか失敗なんだかよくわからない、初めての五味唐辛子作り。
ただ、ここに思いもかけない副産物が出来上がっていて
↓の写真の右側の入れ物。
ウコンではありません。
柚子の皮がたくさん残ったので、ついでに粉にしたものなのですが
これが、また美味しいのなんの!♪
けんちん汁にかけてみると、唐辛子無しでも、これだけですごく美味しくなる!
味噌汁にちょっとかけても、GOOD!
・・・・・って言ったら、いったい何のために苦労して
藤山寛美にまでなって、私は五味唐辛子を作ったんだ!?
と言いたくなるのですが
ともあれ
柚子の皮の粉は美味しい。使えます。
「商品化したら、売れるんじゃないの??」
なんて思ったのですが
・・・・・きっと、もう大手メーカーから販売されているのでしょうね。
こんなに美味しいんだもの。
そんなこんなの五味唐辛子作り。
経験もひとつ積んだことだし、来年は、もっと上手に作れますように!