ミョウガの季節。
里山の持ち主マスターTさんは、さすがに農家、
敷地の中に、立派なミョウガ畑を持っていらっしゃる。
それは、敷地内を通る、細い町道の脇にあって
後ろは2メートルくらい落ち込んだ、細い川。
川の向こう側は、うっそうと雑木が茂った山の斜面というロケーション。
山の雑木が天井を覆って、日が差さず、
まことにミョウガ栽培に適した場所なのだった。
なので、毎年、
初夏になると、ミョウガが芽吹いて育つ育つ。
この、暑い時期になると、もう↑のような感じで、
先に<ミョウガ畑>と書いたけれども、
実際には<ミョウガ林>としか呼びようのない場所に
今年も、また、ミョウガの花が、ピュウッと顔を出す季節がやって来たのだった。
さて、このミョウガ林のミョウガ。
「好きなだけ採っていいから」
と、ありがたいお言葉をいただいており、
毎年、この季節ならではの味を、楽しませていただいているのだけれども、
・・・・・・・・・・正直、
私は、どうにも、このミョウガを、
積極的に採る姿勢には、なれないでいるのである。
・・・・・・・・・・決して、嫌いなわけではないのだが、
なにしろ、
こういう↓ミョウガが大好きな場所は、蚊も大好き♪
なので、ど~~~~~~~~~~しても、
この林の中に分け入って、ミョウガを探し、ゲット!
という勇気がわかないのである。
だって、
一番美味しいのって、
地上に花が出た(咲いた)ミョウガより、出る前の、地面の下にいる、それ。
でも、花が出たミョウガを探すのは簡単だけれども
地面の下にいる、顔を出す直前のミョウガを探すのって、
ちょっと時間がかかるではないですか。
しかも、このミョウガ林の根元は、落ち葉を、うず高く積み上げたもので、
その落ち葉の隙間に、いかにも蚊がひそんでいそうな、
分け入って来る人間を待っていそうな・・・・・・・・・・。
そんな林の中で、
落ち葉の地面を、ゴソゴソと掘り返して行くのは
相~当~に勇気のいる行為・・・・・・・・・・
に思えるわけです。私にとっては。
そんなわけで、
今年も、もう2週間くらい前から、夫が
「そろそろミョウガが出来とるんと違うかのーー?」
と、さえずっているのだけれども
「・・・・・・・・・・・・・・・そうやねぇ~・・・・・・・・・・・・・・・」
と気合いの入らぬ返事を、繰り返してきた私。
ミョウガ林は、すぐそこにあるのだけれども
私には、遠い遠い存在だったわけです。
しかし、
前の土曜日、
ミョウガ林の根元をのぞいていた夫が、「おお、花が出とる。出とる♪」
と、嬉しそうな声をあげた瞬間、
ためらうことなく、ミョウガ林に突入。
夫は、蚊に喰われやすい体質のくせに、案外、蚊に頓着しないたち。
なので、
「あら~~~~~。そう?出とる??」
と応じつつ、ちょっと離れた所で、別の用事にいそしんでいた私。
もちろん、
ミョウガ採りを夫に任せるため、他の用事をやっているわけですが、
ここだけの話、結局、毎年、こうなるのですね。
のらりくらりと、私がミョウガ採りを渋っている間に、
最終的には、夫が一人、採ることになると言う・・・・・。
が、
今年は、このシーンに、マスターTさんの奥さんが登場。
夫が、ウハウハ♪とミョウガ林の地面を掘っているところへ
マスターTさんの奥さんが、山から降りていらっしゃった。
「あ、ミョウガいただいてます~~」
と挨拶すると、
「はいはい。出とるでしょう。採ってってくださいよ~」
と言いつつ、奥さんも、ためらいなく、ヒョイ!とミョウガ林に身体を突っ込む。
あ!
え。
は・・・・・。
す、すみません~~~~~。
いえ、自分で採りますから・・・・・あの・・・・・。
などと、私が言ってるうちに、3つ4つのミョウガを、ほいほいと私の手の上に。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・とっても情けなかったですよ。自分が。
と言うわけで、
来年からはズルをせず、うだうだ言わず
自分も(腹をくくって)突入しようと思ったミョウガ林。
よそのミョウガ畑も、皆、こんな感じで、
みなさん、蚊に喰われることを気にしつつ、
果敢にもミョウガ採りに励んでらっしゃるのでしょうか?
やっぱり、私が、根性無し・・・・・・・・・・?
ともあれ、今年初めてのミョウガは
今、甘酢に漬けられて、冷蔵庫で食べ頃になるのを待っております♪
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
こんな風に、ミョウガが漬かるのを楽しみに待ちながら
しみじみと思うのは
63年前の昨日も、ミョウガを採って甘酢に漬け
「明日の朝食べよう♪」
と思っていた人達が、広島市にはたくさんいたのだろうな
ということです。
戦後63年経って、
「1945年の8月6日と8月9日に、何があったのか知らない」
と言う若い世代が、日本でも増えていると聞きます。
信じられない・・・・・。
信じられないけれども、でも、彼らに罪は無い。
知らないのは、彼らのせいでは無い。
上の世代(当然、私も含めて)が、
しつこくしつこくしつこく、口にし、これを伝えていかねばならないのだと思います。
核兵器を持ちたくてたまらない国が増えようとしている今、
それをなんとか止めるのは
たった一個が爆発しただけで、その下の街では何が起こるのかを、
想像する力だけだと思うから。