暑さの続く中、日曜日、
瀬戸内国際芸術祭の第2島目、女木島(めぎじま)へ行って来た。
↓の写真だと、右端に写っている島がそうである。
写真でもわかるとおり、高松港から一番近い島で、
フェリーで20分。
高松市民にとってはお馴染みの、「海水浴のメッカ」とも言うべき島で、
この日も、フェリーの乗客は、芸術祭を見に行く人と海水浴の人が半々くらい
という感じだった。
そんな女木島の、港と集落(ちょっと写真が遠いですが)。
先々週行った男木島は、ほとんど平地が無い島ゆえ
山の斜面に積み上がるようにして家が立ち並んでいたけれども
女木島は、港周辺に平地が多いので、集落は平らに広がっている。
ただ、
集落の立つ場所は、
冬場、山にぶつかった風が山頂から吹き降り
海水を巻き上げては集落に吹き荒れて大変なことになるため
吹き荒れる海水まじりの強風から家を守るために
集落全体を、城壁のような石垣で囲ってある。
地元では、この石垣を「オーテ」と呼ぶのだが、語源は、私には不明。
「覆って」が訛ったものなのかな・・・?
さて、最初に向かった展示場は、
その「オーテ」のすぐ内側にある空き家を使った展示場。
入り口を入ると・・・・・・・・
母屋を抜けた先にある庭には、ヒノキの板が敷き詰められていた。
香川産のヒノキなのだそうだ。
展示場には、靴を脱いで入るのだが、
このヒノキの板の上を素足で歩くと、スベスベして本当に気持ちが良い。
庭の向こうには、「オーテ」の内側。
そして、その「オーテ」の上にちょこっと見えているのは、
海の向こうにある、私が住む屋島山のてっぺん部分だ。
(私が住んでいるのは、山のふもとですが)
女木島港から見た屋島山は、こんな感じだけど↓
この空き家に、かつて住んでいた人達は、屋島山を
こんな風に、毎日眺めていたんだな。
・・・と、結構まじめに芸術観賞しているのは、
この日が、先々週の男木島へ行った日よりは、ちょっとだけ涼しかったから。
気温は、そう変わらないと思うのだが、
この日は、風が強く吹いていて、その分気持ちが良かったのだった。
しかも、男木島と違って、女木島の集落は平地に並んでいるし。
なので、
「今日は、楽やのーーー♪」
と言いつつ、集落の展示場を回る我々。
これは、休校中の女木島小学校を利用したギャラリー「FUKUTAKE HOUSE」。
アーティスト一人につき教室1室が割り当てられていて
各教室に、色んな展示。
映像アートと並んで、授業の名残りも。
この「FUKUTAKE HOUSE」、
小学校の校舎だけあって、窓が大きく、
教室にも廊下にも風が吹き抜けていて、大変に気持ちが良かった。
・・・・・・・・という感想が出てきたあたりで、お気づきかと思いますが
「先々週よりは、ずっと楽やのーーー」
と言いつつ、元気に集落を回っていた我々も、
結局、
徐々に暑さにやられて、またしてもヘロヘロになりつつあったのである。
男木島では、野球帽をかぶっただけで炎天下を歩き
暑さにまいった夫も、
この日は、日傘を持参。
しかし、この日差しですからね・・・。日傘をさそうが、何しようが。
なので、
↓この古い納屋の中の展示などは、
↓こういう感じで、納屋の天井から床までを覆いつくす大作で
その大作が、どのように作られているかと言えば
鏡を細かく切って、ワイヤーでつなぎ合わせ、
天井から床まで張り巡らせているのだそうで
ボランティア・スタッフの若い女性が
「アーティストと私達ボランティアで、長い時間をかけて作っていったんですよ」
と、そばに立って説明してくれたのだけれども
締め切ってあるんですわ。ここ!
出入り用の戸、一ヶ所以外は。
窓も全部!
というわけで、蒸し暑いのなんの!!!
感動する暇も無く、展示場を出た私だった。
すみません。
アーティストおよび、ボランティア・スタッフの皆さん。
というような状況下、
この日、
我々が、もっとも感動したのは、
やはりと言うか、なんと言うか、ここだった。
島の山頂の展望スペースから見た、瀬戸内海。
先々週行った男木島も、すぐ北側に見える。
この展望スペース、
風景もすっばらしい上に、
島の山頂だから、メチャクチャ風通しが良いのだった。
木々に囲まれた山道を上がってきて、ここに出ると、
視界が一気に広がるわ、風が吹きぬけるわで、本当に気持ちが良かった。
我々の後から登って来た人全員が、
この展望スペースに出たとたん
「うっわーーーーーーーー!」
と声をあげていたところからして
「女木島で一番良かったんは、山のてっぺんやったのーーー」
という感想は
おそらく、我々のものだけでは無いはず・・・・・・・・。
良いのかしら?
こんな感想で。
でも、それが野外展示というものなんでしょう。
女木島の展示を見終わって、夫が、つくづく・・・という感じで言った。
「この真夏の野外展示というのは、ハードルが高いで」
ハードル???
「この暑さに耐えてやって来た客をやな、感動させるというのは
よっぽどのもんでないと」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・確かに。
あの時、山のてっぺんで、
私達のしばらく後から、家族で登って来た、小学校4年生くらいの男の子が
海を見下ろした瞬間
「うわーーー綺麗やなーーー!
うわーーー綺麗やなーーー!
綺麗やなーーー、綺麗やなーーー、綺麗やなぁーーー」
と綺麗やなぁ5連発を叫んでいた。
彼の記憶には、
てっぺんから見た風景と、その一瞬の感動が、しっかりと刻み込まれたはず。
横で見ていた私も嬉しくなるくらいの、感動ぶりだった。それは。
この風景(と涼しい風)に勝たねばならないのだ。
真夏の芸術祭は、予想以上に、大変だ。
(でも、そういう状況こそが、エアコンの効いた美術館には無い面白さなんですが)