先日、NHKのBSプレミアムで「新日本風土記」という番組を観た。
新聞のTV欄に書かれていた番組のサブタイトル
「私は、河童、座敷わらしを見た!」
に、あまりにも心をひかれたからだ。
ああ、こういうのは良い。
きっと、
「ここ!ここでワシは河童を見たんじゃ!」
という全国各地の人々が登場して
真剣に、その場所へ案内してくれる内容なのだろう。
この世には八百万の神様がいると信じていて、
「山の子」に描いてあるとおりに世界が見えている私は
このような番組が大好きだ。
と言うわけで、ウキウキしながら「新日本風土記」を観た
その日だったのだが・・・・・。
番組は、想像通り50パーセント。
予想外50パーセントという展開だった。
各地に残る妖怪伝説を訪ね歩く番組なのだが
想像通りの方は、想像以上の楽しさ。
妖怪伝説の宝庫である四国や岩手県の
おじいさん、おばあさんをたずねて行くと
思っていた通り
「ここ!ここで子供の頃河童を見た!」
とマジで言い張るじいちゃんや
「カワウソの妖怪に名前を呼ばれるんじゃわ」
と、さも「当たり前のことじゃわ」と言わんばかりに
アッサリ答えるばあちゃん(小豆島の方だった)などなど続出。
TVの前で
「いいぞ!いいぞ!」
と、私は拍手喝采だ。
が、
一転したのは、東京は根岸の小学生を主人公にした
取材部分。
根岸というのは、江戸時代には田園地帯で
田んぼの中に、お金持ちのご隠居さんの隠居屋敷がポツポツと建つような
閑静な場所だった
と、江戸の落語には、よく登場する。
そういう場所だったから、
落語の中でも狐や狸が出てきて人をたぶらかす
というエピソードが、しばしばあって
つまりは、妖怪伝説のよく残っていそうな地域なのだ。
実際、
色々な怖い話が多く伝わっているらしくて
地元の郷土史家のような方が、小学校を訪れ
怖い伝説のレクチャーを、小学生達にしてくれていた。
そして、
その後、根岸の小学生達は、街に出て
地元に残る怖い伝説の聞き取り調査をする
ということになるのだが・・・・・・・・・・。
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この後画面に登場した根岸のお年寄り達について
私は、どういう感情を持ったらいいのかわからない。
小学生達に
「妖怪はいると思いますか?」
と聞かれたじいちゃんばあちゃん達、皆、異口同音に
「う~~~~~ん。見たことないからなぁ。信じてない」
と答えるのだ。
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「河童を見た!」
「カワウソの妖怪に名前を呼ばれた」
と、大真面目に言い切る田舎のお年寄りとの
この違いはなんなんだ!!!!!?????
自然と遠く離れた生活をしているから、
自然への畏敬の念が無くなっている
とか
都会には暗闇が無いから、
この世のものでは無いものへの恐怖心が薄れている
とか
理由は探せるにしても
この想像力の欠落ってなんなのだろう?????
「カワウソの妖怪に名前を呼ばれた」
と言った小豆島のばあちゃんは、
それが子供の頃の話ではなく
「つい半年前も」
と、ごくごく自然に話しておられた。
TVの前で、私はひたすら怒るしかなかった。
狂ったように、必要以上の明るさで夜の街を照らし続けてきた
戦後のこの国を。
ただ、この番組の救いは、
子供達が、想像力をしっかりと持っていたことだろうか。
研究発表の大きな模造紙には
「見たことが無いから信じてないというのはおかしいと思う」
との頼もしい文字が。
そう
たとえ自然と遠く離れていても
闇夜が無くても
小学校には、不思議スポットが必ずあるものね。
どこの学校にだって七不思議は、ある。
見たことがないから、信じないというのは
本当におかしい。
レクチャーに来てくれた郷土史家のような大人も、少なくないわけだし
根岸の子供達よ
その想像力を、持ち続けておくれ
と願った、その夜だった。
・・・・・それにしても
山村留学が必要なのは、子供達じゃあないんだな。
大人だ。
根岸のじいちゃんばあちゃん達こそ、小豆島に1年
留学していただきたい
と真剣に思う。
8月後半。
ミニトマトのプランターも、早めに片付けて
どうにも殺風景で散らかった雰囲気の我がベランダ。
冬野菜達の育苗ポットも無いし
どうにも潤いに欠ける景観だが、仕方がない。
来週から、マンションの外壁修繕工事が始まるのだ。
なので、工事が終わるまでの4ヶ月間は、ベランダ菜園は中止。
何年も前から計画されていたことだから
こちらも心の準備はしていたけれど
今シーズンの秋冬野菜は作れない
というのは、
やはりちょっと悲しい。
こちらは、まだ収穫途中の鬼あきたとバジル。
ミニトマトと一緒に片付けようか・・・・・
とも考えていたけど
例年、10月くらいまで元気な彼らを、今引っこ抜くのは
やはりもったいない。
来週、別の場所に持って行くことにした。
来週から、工事のネットに覆われた生活が4ヶ月続くことになる。
ネットは我慢するとしても
目の前に菜園が無い
成長する野菜達が無い生活というのは・・・・・
なんとも悲しい。
想像力で、山の一畳畑のウコンのことでも思い浮かべながら
今は、ただ年末を待とう。
北の国の人達が、雪解けを待つように。