私は1962年生まれで、
小学生時代は、まさにこの国が高度経済成長の真っ只中だった頃。
今、映画や小説やTVドラマで、
この時期の日本は景気が良くて、
日本人みんなが元気いっぱいで
活気にあふれていて幸せだった
みたいに描かれることが多いけれども
この当時、小学生の私が毎日TVニュースで見ていたのは
「水俣病」と「イタイイタイ病」と「四日市市の大気汚染」と
「東京・夢の島の埋立地に積み上げられたゴミの山」
の映像だった。
もうダメだこりゃ、今の私ら子供に未来は無い
と本気で思っていた。
私の親の世代は、太平洋戦争で、もう自分たち子供に未来は無い
と思って過ごしていたと思うけど
私は私で、公害のおかげで
とてもじゃないけど「高度経済成長で世の中ハッピー」
なんて思えない日々を送っていたわけだった。
特に怖かったのは、夢の島に積み上げられ、
ブルドーザーで平らにならされていく膨大なゴミゴミゴミ。
本当にショックを受ける量だった。
でも、聞けば、この夢の島も、あと何年かで満杯になるので
第二の夢の島を作る計画だとか?
どうしよう。
そのうち、日本中、ゴミを持って行くところが無くなって
人間が住むところが無くなってしまうのでは?
本気で怖がっていた。
三つ子の魂百までも
と言うけれど
これが記憶の中にドッカリ腰を据えているせいか
私は、あふれるほど物がある状態がすごく苦手だ。
「いずれは全てゴミになる」と思うと
山のような品々が、山のようなゴミに見えて気が滅入ってくる。
だから、家の中にも、極力物を溜めたくない。
セーターを一枚買う時は、一枚処分する時。
理想の暮らしは良寛さん。
家の中にタケノコが生えて来たなんて、
タケノコが自由自在に生えるスペースがあるくらい
床が広々としてるってことでしょう?物が無いから。
素晴らしい!
とは言え、今の自分が良寛さんを実践できているかと言えば
出来てりゃ私も偉人。
欲に振り回される凡人の私は、
そこまで必要最低限の物で生きているわけではないのだけれども。とほほほほ。
さて、以前にもブログに書いたのだが
私の両親は、私と真逆で、物を処分せずに溜めるている人達である。
なので実家にいると、私はものすごく物による圧迫感を感じてしまうのだが
人は人、自分は自分
と、極力気にしないことにはして来た。
が、
「何か手伝うこと無い?」
「重いものを運んで欲しいとか」
「片付けることとか、無いの?」
と、実家に行くたびに、暗に
「なんとかせんでええのか?このあふれかえった物を?」
という態度は、小出しにせずにはおられない。
しかし、
両親の返事は
「まあ、今のところは特に~」
とっほっほっほっほ。
まあ、でも、仕方が無い。人は人。人は私じゃないんだから。
が、
そんな状況が、最近ちょっと変わって来たのである!
しばらく前から、月の第一金曜日に実家へ行くことにした。
これまでは、自分の都合の良い日に不定期に寄っていたのだけれども
それを、日を決めて定期的にしてみたところが
なんと
私が行くのに合わせて
両親が、納戸から処分したい品々を引っ張り出しているのである。
これを処分場に持って行きたいから車に積み込んで欲しい
と、信じられないことを言う。
もう何十年も前から手つかずの
開かずの納戸が開いた・・・・・・・・・!
やれば出来るんじゃないの!
おっとーさん、
おっかーさん!!!
思えば、不定期にやって来て「何か片付けること無いの?」
と言われたって
ヨイショ!と取り掛かるのもおっくうなことだったろう。
でも、毎月この日に私が来る
とわかっていれば。
ああ、もう、もっと早くからこうすれば良かったのだ。
馬鹿だったなぁ。私。
と、心の中でピョンピョン♪飛び跳ねていたところが。
・・・・・・・・・開かずの納戸や押入れをゴソゴソやっているうちに
どうやら、実家に残した私の荷物が発掘されたらしい。
大学を卒業した時と、結婚の前、実家に行って
自分の荷物はすべて片付けてきた・・・・・・・・・
はずだったのだが
なんと、まだ段ボール箱がひと箱埋もれていたとは!
「これじゃわ」
と指差されたのは、30年以上手つかずと思われる
ボロボロのダンボール箱。
こんなの、記憶に無いぞ。
いったい何が中に・・・・・・・・・?????????
恐る恐る開けてみたところ、出て来たのは
小学校の時の縦笛。
中学校の時の縦笛。
高校の時の縦笛。
学校を上がるたびに買わされてたんか!
あとは、分度器とか手鏡とか、子供の頃集めていたバッジとか
修学旅行で買って帰った絵はがきセットとか、
要するに、高校を卒業した時点では
「捨てるのにはちょっと・・・・・・・・・」
と思っただろう品々だ。
笛3本て・・・・・・・・・。
もちろん、すべて両親に頼んで処分してもらった。
持ち帰った物は、ひとつだけ。
ああ、これこそ高度経済成長真っ只中の切手だよ。
でも、これは封書の郵便代が50円だった時代のものなんでしょうね。
今、絵はがきに貼ったら
住所書くところ無いやん・・・・・・・・・。
「いつか使うかも」
と思って往生際悪く取ってあるもので
いつか使うものは、無い!
あらためて「物欲を捨て去った良寛さんを、見習いたい!」
と思った、この日だった。