さて、四国村へ入村した我々は、他の3組の参加者と共に
これから半日滞在する民家を選んだ。
ちなみに、他の参加者とは、
2歳と4歳くらいの可愛らしい姉妹を連れた、30代くらいのご夫婦。
20代と思われる若い女性達の4人組。
ジジ、ババと、その娘達&孫達による、総勢9名の3世代グループ。
と、実にバラエティーに富んだ4組となった。
似たような参加者ばかりにならないで良かったと思った。
色んな人が、この企画に興味を持ったと言うことで、とても面白い。
ジャンケンで勝った組から、好きな民家を選んでいき
我々が選んだのは、徳島県の祖谷(いや)地方に建っていた民家。
この祖谷(いや)地方と言うのは、
徳島県と高知県の県境にある、四国山地という大きな山系の中にあり
大変な山奥で
四国の人間にとっては<平家の落人伝説>のある所として良く知られている。
・・・・・おそらく、日本全国、すごい山の中と言うのは、
たいてい平家の落人伝説が残っているものと思われますが
ここ祖谷地方と言うのも、
その伝説が伝わるにふさわしい山深い地域。
そして、平地が全く無いので、
集落は、すべて、急峻な山肌にしがみつくようにして建てられている
と説明書きには書かれてあった。
そう言う所だから、
納屋、主屋(おもや)、隠居屋の3棟を移築してあるのだけれども
3棟が、全部、横一列に並んでいる。
普通、農家って、四角い土地の中に、主屋や納屋や牛小屋が
バラバラバラと建てられているものだけれども
ここは、真横一列。
そして、我々が滞在するのは
その祖谷地方の農家<中石家>の主屋(18世紀後半建築)となったのだった。
これが、その中石家主屋を横から見たところ。↓
なんだか<まちかど漫遊帖>ののぼりが立ってて、
古民家茶屋みたいに見えてますが・・・・・
この家、壁がグルリと竹材で覆われているのがわかるでしょうか?
祖谷地方は、大変な豪雪地帯でもあるので、
土壁を、こうして竹で覆い、雪から家を守っていたのだとか。
と、案内してくださった学芸員さんが教えてくださいました。
室内は、こんな感じ。↓
中に座っているのは、展示用のロウ人形ではなくて夫なのですが、
反対側から見ると、こう。↓
つまり、この家は、↑この縁側に面した2間きりの家で
トイレ・・・・・じゃなかった、厠(かわや)は縁側の端の突き出た所にある。↓
お風呂は当然無いのだけれども・・・・・
お気づきでしょうか?
このお宅には、農家ならあるはずの土間が無いと言うことに!
普通、古い農家と聞いて思い浮かべるのは
玄関を入ったら、広い広い土間があって、
その隣の一段上がった所に、囲炉裏を切った居住空間があって・・・・・
なのだけれども
この家にあるのは、2間の板の間だけ。
では、玄関や土間無しで、出入りはどこからするかと言えば
この2間に面した縁側からで↓
もう、ムチャクチャ開放部の広い、オープンな家なのだった。
平家の落人が、追っ手から身を隠しながら生きてきた場所なのに
こんなにオープンな作りで大丈夫なのかしら???
と突っ込みを入れたくなって来るけれども、
いえ、昔々は、もっと出入り口も小さい
非オープンな家々だったのでしょうね。
このおうちは、あくまでも18世紀後半仕様と言うことですから。
もう徳川の時代ですもんね。
追っ手なんか来ないわよね。
さてさて、
土間が無いと言うことは、当然おくどさん(かまど)も無い!
「へ~~~~~!??おくどさんが無いって、炊事はどうするの???」
と見回せば
家の外、ちょっと離れた所に、何やらおくどさんらしき物体が・・・・・・・・・・。
う~~~ん???何で、家の中に土間が無いねんやろ???
と、この時は、すでに学芸員さんが去った後だったので
首をかしげるしかないのだけれども
この地域の家は、
豪雪地帯ゆえ、2間の板の間の双方に、暖を取る囲炉裏が切ってあるのだそう。
なので、その結果、土間を作るスペースが無くなった・・・・・
と言うことかな???
雪に閉ざされたら、もう外のおくどさんなど使えないだろうけれども
囲炉裏がふたつあれば、ご飯をたいて、お汁を作って・・・・・
と同時進行は出来るしなぁ・・・・・
と思いつつ室内を見渡せば、
囲炉裏でご飯を炊くための五徳付きの歯釜もちゃんと置いてあった。↓
と言うような、特徴のある古民家、中石家。
さて、そのふたつある囲炉裏のうちのひとつで、
我々も暖を取らせてもらうことになったのだけれども↓
座布団は、四国村が用意してくれたもので、
この日は、さすがに<ムシロ>は取っ払ってありました。
そして、囲炉裏には、木炭と、
懐かしや!!!!!
豆たん!!!!!↓
「うわ~~~っ。懐かしい~~~~~」
と叫んでいたら
「そ~やろ~~」
と、火をつけに来てくれた、60歳代と思われる係のおじさん。
しかし、この懐かしの豆たんが、後々私達を苦しめることになるとは・・・・・
この時は、とんと気づきもしなかった我々だった。
それはともかく、
豆たん
と聞けば、<一酸化炭素中毒>を思わず思い浮かべてしまうのだけれども
それは心配後無用。
なんたって、ここは展示家屋。
開けっぴろげです。↓
他の観光客だって、どんどん通っちゃう。↓
それでも、ありがたかったのは、この日が、ものすごく暖かい
まさしく小春日和だったことで、
その前の週など、寒風吹きすさぶ日が何日も続いていて
「四国村へ行く日、こんなんだったらどうしよう~~・・・・・」
「途中で帰ろうか・・・・・・・・・・」
などと、暗く話し合っていたのだけれども
この日は、全国的に本当に上天気で
囲炉裏の火にあたっているだけで充分暖かい・・・・・
と言うより、熱く、
縁側の日差しがポカポカとしてちょうど良い
と言う、本当に恵まれた一日となったのでした。
「やれ、良かった良かった。ありがたいなぁ~~~」
と言いつつ、縁側に座って紅茶なんぞ飲み
軒下に吊るされた干し柿をながめ
「この、草で吊るすの、いいやん♪」↑
などと感心しては、また紅茶を飲んで、のらくらしていた我々。
が、
ほどなく、例の豆たんが
困った事態を引き起こすことに・・・・・・・・・・・・・・・。