私達の参加している<里山オーナー制度>は、県が始めた企画なので
3月で<年度>が変わる。
そして、
我々の里山オーナーも、この3月末で
当初予定の5年契約が終わる。
ここから先は、続けたい人は新たに契約を結び、去りたい人は去る
と言うことで、
もう少し違った活動の仕方にもなってくるかもしれない。
ともあれ、
先に5年分の山の賃貸料を、県に支払ってしまったため
途中でやる気が無くなった人や
色んな事情で、手入れに来たいのに来られなくなってしまった人などの区画が
手を入れられないまま、数多く放置され
まさに里山の<不在地主>の山
そのものの状態になってしまっていたのだけれども
そういうことが、一から仕切り直されて
少しずつでもより良い方向へ
山がより良い状態へ、変わって行けたらなと思う。
「より良いとは何か」
というのが、また難しいのではあるけれども。
ところで、この5年間、
「きちんと定点観測の写真を撮っておくべきだったなーー」
と何度も思わされた私。
と言うのも、
最初は、ここまでムキになって里山の手入れに通うことになるとは
さすがに思っていなかったのだ。夫も私も。
(そもそものことの始まりは、こちらをどうぞ。)
だから、当初は、
20数年間放置されて、ものすごいジャングル状態になってる山を
好き好んで写真に撮ることは、ほとんどしなかった。
それよりも、
田んぼの畦に咲いているアザミやタンポポの方が
よっぽど気持ちの良い被写体になってくれたし。
やっぱりジャングルはねー・・・・・。
でも、
今となっては
手入れが進んで綺麗になった山を見るにつけ
「最初、ここは、どんなんだったけ・・・・・・・・・・??」
と、思うことしきり。
手入れされた状態を、長く見慣れてしまって、
もう最初の混沌が、全く思い出せないのだ。
人間の記憶って、ホントいいかげんだ。
「ああ、やっぱり、定期的に定点観測をしておけば・・・・・・・・・・!」
素人集団でも、5年かければこれくらいまでは、なんとか出来る
ということを、
きちん伝える記録になったと思うのに。
ただ、
まだ里山オーナーになる前、
オーナーに応募して来た人達を集めて、現地説明会というものがあり
それに参加した夫の撮った写真が
何枚か、デジカメのファイルに残っている。
まだ、「本当に里山オーナーに申し込むのか?」
「申し込んだとしても、抽選に当たるのかどうか?」もわからない段階で
思いつくままに、テキトーに夫が撮ったため
今となっては、↓のように
「山がグチャグチャだったと言うことは、すごくよくわかるけれども
・・・・・ここは、いったいどこやの??」
と思う写真も、たくさんある。
場所をきちんと覚えていて、その後も定点観測していれば
ここがどこか、今もわかるのだけれども・・・・・。
そんな中で
地形から、場所が特定できる写真が、奇跡的に2枚あった!
ひとつは、これ。↓2003年1月の状態。
↑同じ場所の、2008年の風景がこちら。
遠くに見えるスギの木の形を頼りに
同じと思われるポイントを探して、先日、撮影してきた。
それから、もう一枚は、
↓同じく2003年1月の状態がこれで
↑が、2008年2月の様子。
2枚目は、まさしく私達が手入れを続けている場所の写真で
よくまあ、夫が、ここの写真を、説明会の時に撮ってくれていたものだと思う。
現在の写真に写っている
斜面の途中に、斜めに生えている栗の木(茶色い葉っぱをつけている)や
その少し上にある、葉っぱを落としたタラの大木など
最初は、完全に淡竹(ハチク)の竹林に埋もれていて
よくまあ、頑張って成長していたものだと思う。今となっては。
思えば、
このハチクの斜面を皆伐しきったあたりから
「山の手入れを続けるぞ!
(だって、ここで止めたらもったいない~~!)」
「ここを生態系の豊かな雑木林に戻そう!」
と腹がすわり
目標も定まったのだった。
それまでは、<山の手入れ>と言ったって
出来上がるべき理想の山と言うのが、わからず、見えず
何をどうしていったらいいのか・・・・・
あやふやなまま。
いよいよ行き当たりばったりで、山通いをしていたようなものだったのだ。
懐かしや。竹林。
いや、もう2度と生えて欲しく無いけど!
さて、このように、昔の姿がわかる場所は経過がわかって良いのだけれども
先に書いたように
ほとんどは、最初の姿の写真が無い場所ばかりの里山。
例えば
↓の写真、山の斜面の矢印の部分が、棚田になっているのがおわかりでしょうか。
でも、ここが、5年前、
一番下の棚田の部分まで、雑木林のジャングルとなっていて
人が全く足を踏み入れることが出来ない状態だったなんて
想像できるでしょうか?
私は、想像できない。
もう、完全に忘れてしまった・・・・・・・・・・。
でも、ここの手入れが進んで棚田が現れた時には、
確かにビックリしたのだったっけ。
「ここ、田んぼだったんや・・・・・」と。
と言うように、5年前の姿は、もう全く思い出せないけれども
私達の通う里山の一部は、今はこんな状態です。
もちろん、↑の写真は、オーナーの皆が共同で手入れしている部分なので
広い範囲が、かなり綺麗になっていますけれども
山の中に入れば
冒頭に書いたように、放置されてメチャクチャな部分も多くあります。
そういう部分を見て
山を貸したマスターTさんは、悲しいだろうなぁ・・・・・
と、こちらの心も痛くなってくる。
でも、
コツコツと手入れを続けていれば、綺麗になる範囲も少しずつ広がって行くはず。
そして、
5年間の途中で放置されてしまった区画の、オーナーさんの中には
来たいのに、急に転勤になってしまった人や
家族が体調を崩して・・・・・という方、
また、
他のオーナーの誰よりもやる気満々だったのに、
病気で亡くなられてしまった方もいらしゃる。
そういう方達の分も
出来る者が、出来るだけ続けていかなきゃなぁ
と思う、5年の節目の今日この頃です。
全体からみれば、なかなか綺麗にならない山を見ていて
5年もやっているのに、ちっとも進まない・・・・・
とガックリくることも多いけれども
(台風や、イノシシのせいで、手入れした所がメチャクチャに壊されることもあるし)
でも、
山のサイクルから見れば
多分、たったの5年。
1本のクヌギが成長して、老木になって伐り倒され、薪になり
新しい苗木が植えられるまでだけでも、30年はかかること。
あせらず、あせらず、
でも、手は動かし続けようと思います。
自分のやっていることは、本当に、世の中のプラスになっているのか??
と迷うこともしょっちゅうですが、
マスターTさんが、「山を貸して良かった」と心の底から思ってくださるように。
冒頭に書いた
「より良い里山」は、私達の場合、まずは、そこにあると思うので。
マスターTさんのお話を聞きながら、相談しながら
6年目を目指したいと思います。
山の神様、これからもなにとぞよろしくお願いいたします。