3年前の冬、ほだ木にシイタケ菌を植菌し、
一昨年、去年とシイタケの収穫をみてウハウハだった
我が里山の原木栽培シイタケ。
しかし、↓このほだ木の状態を見てもおわかりのとおり
栄養分は、すでに吸い尽くされて、木はボロボロ。
「そろそろ、次の栽培用のほだ木を用意せんといかんなぁ」
と、この春先から話し合っていた私と夫でした。
ともかく、
この冬に、クヌギかコナラを1本、伐採してほだ木を作ろう
と、相談しあって決めた。
しかし、
ことは、そう簡単ではありません。
クヌギでもコナラでも、私達のお借りしている区画には、何本でも生えている。
それこそ、もういいかげんで伐採しなければならないような
20メートルも30メートルもある大木が、
伐って売りに行きたいくらい、ボンボンと生えている。
でも、
・・・・・・・・・・簡単には伐れないのですよねぇ。そういう大木は。
理由は、この里山が、30年近く伐採されず、
樹が密生状態にある
と言うことにあります。
枝をあちこちに伸ばして20メートルにも育った大木。
これが、何本も、お互いに枝をからませるようにして立っているもんだから
根元を伐ったところで、
ドーーーーーンと、あっけなく倒れてくれはしません。
枝が引っかかって、別の木にもたれかかる「かかり木」になってしまう。
20メートル、30メートルの大木がかかり木になったら
もう、私や夫の手では、危険すぎてどうしようもありません。
だから、
ほだ木用の樹を伐る時は
マスターTさんや、伐採に慣れた他の里山オーナーさん達の力を借りよう。
その日程をいつにしたら良いものかなぁ・・・・・
なんて、頭を悩ませていた、この秋だったのです。
ところが。
日曜日。
この日の午前中に、
<新入会員さんのためのチェーンソーの講習会>というものが、
里山で行われました。
実際にチェーンソーで樹を伐りながら、伐採の仕方をレクチャーするもので
私も里山オーナーになった最初の年、
手取り足取り教えていただきながら、
へっぴり腰で、杉の木を切り倒した覚えがあります。
これを、この日曜日にもやったのですが、
この時、
我々の区画のクヌギを2本、練習用に伐り倒したらしい。
「らしい」
というのは、この日の午前中は用事があって
里山に行けなかったからなんですが
午後に行ってみると
「高橋さんとこのクヌギ、伐り倒したけんなーー」
とのこと。
あれあれ。
伐り倒した樹は、
里山オーナー全体の、シイタケ栽培用のほだ木にする予定なので
では、私達のほだ木はどうしよう~・・・・・?
と、相談した結果、
1部分、私と夫がもらって、我々用のほだ木にしても良いことに。
あら、助かった~~~~~!
楽してほだ木を手に入れて、申し訳ないのですが
ホントに助かりました。
切り倒すのが、本当に難しい樹なのですから。
実際、伐採の後の様子を見ようと、山へ入ってみますと
やはり、クヌギは「かかり木」になっていた模様。
ただ、今回は、
かかり木になった後、
思わぬ展開となってしまったようで・・・・・
と言うのも、↓これが伐採の後なんですが
なんとまぁ、杉の木も一緒に倒れている!
真ん中あたりに写ってる、まっすぐな木が杉なんですが、↓
伐採していた皆さんの話によると
伐ったクヌギが、人工林の杉に倒れ掛かり
そのまま杉も一緒にメキメキメキーッと倒れてしまったのだとか。
30メートルくらいはありそうな杉が、
根元を伐りもしないのに、寄っかかられただけで、バターン!と!
・・・・・・・・・・なんと言うか、
現在の、間伐不足の人工林の問題点がそのまま出たような現場だ、
と思いました。
この杉、
背丈こそ30メートルくらいはありますが、幹の直径は30センチも無いと思います。
間伐不足で、陽が入らない森の中、
お日様を求めて背丈ばかり伸びた、ヒョロヒョロの杉の木。
当然、根もしっかりとは張られていません。
そんな木が、
クヌギを受け止めることもできず、
一緒にあっけなく倒れてしまう・・・・・。
こんな木ばかりが立っている人工林の山は
当然、集中豪雨にも、弱いでしょう。
山が崩れれば、山間部に住んでいる人間は、もちろん大変ですが
山が崩れてダムが土砂に埋もれでもすれば
市街地に住んでいる人間だって、無関係ではいられません。
土砂が川を流れて海に入れば
漁業にだって影響が出るはず。
手入れ不足の杉・ヒノキ林の問題は
山間部の人達だけの問題じゃなく
すべての人に関わってくる問題だ、と思うんだけど・・・・・・・・・・
なかなか、道を造ったり橋を造ったりするような予算は
この問題には、おりて来ません。
行政に期待していたって無駄!
ボランティアが頑張ろうー!
と言っても、
私達の区画の人工林の間伐さえ、なかなか思うようには進んでいない
この現実。
はがゆい・・・・・・・・・・。
と、色々考えさせられた伐採現場。
ともあれ、クヌギは、このまま1ヶ月くらい、ここで倒したままにして乾かし
その後、
枝を落とし、幹を玉切り(長さを揃えて切ること)にして
シイタケの植菌です。
ついでに杉も1本、間伐できたわ
と考えると、ちょっとはなぐさめにはなるかなー。(ならへん、ならへん)
ところで、私の周りには、大きな山の樹もありますが
もっと身近なところには、こんな木も。
そう、ベランダのポポーの苗木。
この、やっと15センチほどになった苗木が、
10月の終わり頃から、茶色く葉を変色させ始め
「病気か!?」
と私をあわてさせてくれたのですが、
11月の初め頃になると、更に変色が進んで、こんな色に。
この時点でやっと
「あ・・・・・。落葉樹やったんか・・・・・」
と気づいた、間抜けな栽培者が、私です。
今や、すっかり葉を落とし
なんかもう、ゴミなんだか、苗木なんだかわからない風情に。
でも、今は、ゴミにしか見えないこの棒が
やがて春になれば、また芽吹いて、少しずつ背を伸ばし
やがては、あの里山へ行って
10メートルも20メートルもある大木になる。
そんな日が、いつかは来るのかもしれません。
その頃、あの里山はどうなっているのか。
もっと綺麗な、そして<安全な>山になっている
と信じたい。
そう信じて。
ともあれ、皆さん。
人工林の手入れを進めるためにも
<国産間伐材>の商品、見かけたら、どうか買ってやって下さーーい!